自費出版でノンフィクションを書く

ノンフィクションは、自費出版に1番馴染む分野である。自費出版の定番である「自分史」がこの分野である。自分のことを書くとき、自分の記憶が1番のデータである。日記を読み押したり、昔自分が住んでいた家に行って、古い友人に会うということが必要になるかもしれない。しかし、いずれにしてもそれほど書くための材料を得るのに労力は要らない。しかし、誰を対象読者として書くか決めることで書くべき内容も変わってくる。今までの自分の人生を書くのか、ある特定場面に焦点を絞るのか決めなければならない。他人のことを書く場合も同じである。どこの場面を書くのか焦点を決めなければならない。他人のことを書く場合は、より客観的なデータが必要になってくる。より慎重に情報を収集しなければならない。自分のことはよく知っていても他人のことはよく知らない。自分のことはごまかせても他人のことはごまかせない。他人のことを書く場合、まず本人の了解を得る必要がある。そして、本人へ取材を行う。本人が故人の場合、歴史上の人物でない限り、本人の縁故者の了解が必要である。この場合でも、関係者への取材・インタビューを行う必要がある。

他者を書く場合、心情をどう描くかがポイントになってくる。登場人物の行動を淡々と綴った内容や客観的に著者を評するだけでも不十分である。ある程度、登場人物の心情に踏み込む必要がある。その踏み込む程度が難しい。遠い過去の人物のことなら大胆な表現は容易かもしれないが、度がすぎると嘘くさくなる。そうなると読者はついてこない。近年に生きた人のことについて書くのならば、入念なインタビューや調査を行ったうえで、その人物の心情に踏み込んでいく。ノンフィクションを書くときの最重要課題は、他者の感情や心情をいかに真実に沿っては描いていけるかである。